喧嘩よりもアンタが好き・・かもしれない





「何ほざいとんじゃ ワレェ!」


今日もあたしは荒れていた

知らないけどいつも荒れていた

驚くくらい荒れていた


喧嘩はするわ 殴りまくるわ ガン飛ばすわ

放課後 今だってそうである

私服に着替えて街に出ようと思ったけど

あたしの悪口言ってたヤツ呼び出して

喧嘩しようと企んでいた



「すいません さん・・」

「すいませんで済む思っとんのんかお前ぇ!」



1人の男子は半泣きになりながら必死で謝る

もう1人の男子は俯いて何も喋らなかった


「何言うてん 言ってみぃ」


鋭い目つきで訊いてみる

泣き顔を見るのが楽しいのでやったりもする

「・・」

しかしコイツらは何も喋ろうとしなかった

ムカついた

本気でムカついた


「お前等 言わんと シバくぞぉ!」


拳を振り上げた








ガシッ












誰かに腕を掴まれた とても強い力で



「誰やねんっ!!」


これからと言う時に誰だ

本気でキレようと思った


「おい・・ それくらいにしとけ」

「修・・!」


まだ腕を掴んだまま修は言った


「お前等もう帰れ もうの悪口言わんで」

「はいっ!」


修の声を聞くと2人は走り去った




「何があってん 何時にも増して暴れとるけど」

「あいつらなぁ あたしの悪口言うてんやんか」


放課後に備えて着替えていた修は

あたしの事情をよく知っている

幼馴染やからしゃあないけど


「アホかお前 悪口だけでそんな怒ったらアカンて」

「修は耐えられるんかっちゅー話よ」


修はあたしの腕を引っ張ってどこかへ連れて行った

きっといつもの居酒屋だろうけど


「俺は人間出来てるから悪口言われませーん」

「嫌味か お前」

修は人気がある 特に後輩の女の子から

あたしの妹も修が好きで

毎日毎日相談されて

修の何処が良いんだか分からない


「修 アンタ今日も 告られとったやん
 確か2年の亜樹ちゃんやった?」

「あぁ アイツ振ったったわ」

居酒屋に着いた

奥の奥まで行った

呼び出しボタンを押さないと店員には気づかれないそんな座席

お酒は絶対飲まないけど

ここでずっと食べながら話し込む


「亜樹ちゃん振ったんや? あの子2年のマドンナやで?
 明日アンタに軽蔑の目が向けられんで」

「アイツ良う見たら 不細工やから」


2年のマドンナ亜樹ちゃんが不細工なら

あたしはどれだけ不細工なんだか

修は理想が高すぎる


「アンタ 亜樹ちゃんが不細工言うんやったら
 他の子どんだけ不細工やねん」

はそれなりにイケるんちゃうのん」


冗談だろう

冗談やねん

冗談・・・

やなくて本気やったらなぁ


「アホな事 言いなさんな」

「嘘ちゃうでぇ 3年の中やったらやろ
 一番可愛いんは」

注文を適当に取りながら

さらっと修は言ってのけた


「他にも居んで? 
 悠基とか美代とか小夜子とか範子とか・・」

「俺ってブス専やし」


やっぱり冗談やったか

少しは期待してたのに

意外と乙女なあたしの心傷つけやがって


「それっ どういう事やねんなぁ!!」





ガシャンッ


















勢い余ってグラスを倒してしまった

案の定 修の服はびしょ濡れ


「うわぁっ・・ ごめん修・・」

「何すんねんお前ぇっ・・」


弱った 修が弱った

トレーナーからズボンの太ももあたりまでびしょ濡れ

確かお気に入りのコーディネートだったはず


「ごめん・・そういうつもり・・無かってん・・」


わざと乙女ぶってみる

キモいと言われること必至かもしれない


「気に・・ せんでな・・」


意外と照れてるんじゃないか コイツ

やっぱり乙女ぶってみるのも良いんじゃないか



「修・・ホンマごめん・・
 服弁償するから・・なぁ・・ ごめんな・・」


効いてる 結構効いてる


「そんなことせんでも エエってぇ・・
 それより・・」

修が身を乗り出した

顔と顔の距離は12センチと見た


「お前 乙女キャラ 案外似合ってんで」

「なっ・・」


予想外だったかもしれない

効いてるとか弱ったとか思たけど

似合ってる と言われるまでは思ってなかった


「なぁ お前のことブスやなんて思てへんで
 正直ブス専でもないしな 俺」

「どう思てんのよ」


賭けに出る

逆告白を受けたら快く答える

もし他の言葉だったらアンタのことは

きっぱり諦める


「可愛いよ 

「ありがとう・・ってそうじゃなくて・・」


お願い 言ってよ

あたしね 修のこと 好きなんだね

今気づいたんだね

遅すぎた 気づくのが


















「好きやって ・・が」

「修・・」


近かった顔の距離をもっと縮める

唇に暖かい感触 薄ら目を閉じた


そう これなんだね 気づかないもんなんだ

“好き”ってキモチ



唇を離して言った 言い切った


「喧嘩よりアンタが好き・・」

「俺も・・ 兵庫よりが好き」


修の一番は 兵庫県

あたしの一番は 喧嘩


でも一番が お互いだったら

嬉しいんだよね


だからきっとこのままで

ずっと一番で居よう ね






















「お前等ぁぁぁ!放課後集まれぇぇぇ!!」


でも案の定

私は喧嘩が好きだった



ぇぇぇ!また喧嘩かぁ!」


毎回毎回 修に怒られ 止められる

でもこう言うと 一気に許す


「喧嘩は好きやけど 一番は修やでっ!」

「・・はい 行って良し・・」


そういう所が好き 修のそういう所が




修 あたしね


















喧嘩よりもアンタが好き


      ・・かもしれない


















=END=
無駄に長ーーい!
喧嘩シーン要らないっつーの!
でも力作だったりします。
感想お願いしまーす。
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